Renovation Process
2016年5月12日に古民家再生工事がスタートしました!梅雨の中基礎工事をやっていましたが、7月半ばに床の傾きを修整し、8月6日からの柱の傾きを修整する作業も9月半ばに終わり、その後の屋根の修築も思ったより時間がかかりましたが瓦ぶきも昨年末で終了しました。10月30日には土壁塗りワークショップを開催し、大人から子供まで14人の参加があり大盛況でした。そして、遊志庵の完成祝いを兼ねた「アフターを観る会」及び、一般公開の日程が決定しましたので、詳しくは「イベントのお知らせ」をご覧下さい!
2017年4月4日
とうとう四月に入りました。家の内装も建具が入ってやっと家らしくなってきました。キッチンや薪ストーブ用のタイル貼りも完了しました。
家の庭は以前は雑木林だったところをすべて木を伐採していたので、樹齢100年ぐらいもありそうな木の株が掘り起こされたまま放置されています。4月末の一般公開に向けて、まずは基本的なところだけ庭づくりをすることにしました。古民家の縁からの景色で目に入ってくるセメント工場の景色を樹木で隠すために、6本の木を植えることにしました。
知り合いの紹介で野津のくじら企画の小山さん夫妻に簡単な造園をお願いし、今週月曜から三日間ほどでの作業が実施されています。写真はご主人がクレーンを駆使して一番大きな木の配置をおこなっているところです。駐車場から古民家へ続く小道も作って頂きます。ほぼ、石などはもともとあったものを再利用していただいています。
この工事が終わっても、時間をかけて庭づくりをしようと思います。友人知人からいろいろな樹木についてのアドバイスをいただいたので、竹山の麓にある笹薮の土地を今後は整備して、桜や梅、ホウノキや実のなる木々を植えていきたいと思っています。先日は陶芸をされている市野瀬さんから自宅のクルミの木の苗(実生)三本をいただき、竹山のタケノコを掘ったあとの穴に埋めました。クルミの木の成長が楽しみです。
2017年3月21日
昨日は春分の日でした。とうとう暦の上でも春が来ましたが、今日はあいにくの曇りでした。今週中には桜の開花宣言もありそうです。今日は古川先生が最後のチェックに佐伯を訪問されました。丁度二人の左官屋さんや電気と水道工事の職人さんに、造園の相談をしているくじら企画のご夫妻、寺岡棟梁に和田設計士と、久々に現場は多くの人々で賑わいました。
古川先生が水回りや内装などの打ち合わせをされた後、古建具の修理や新しい建具をお願いしている植木木工を訪問して細かいところを詰め(右下の写真)、最後にランブルで4月の古民家のオープニングのイベントの打ち合わせをしました。
今後は照明や建具、畳、厨房器具等が少しずつ設置されていきます。そして、庭も木がほとんどないので木を植えたいと思っています。今後の更新を楽しみにしてください。
2017年3月3日
今日は桃の節句で雛祭りの日です。現場は左官職人さんお二人が最後の仕上げに取り掛かっているところです。壁の漆喰塗りと、キッチンの壁と床のタイル敷き、さらに薪ストーブの周りの壁と床はレンガで仕上げます。
私といえば、山積みになった大工仕事の副産物である木切れ、端材を薪ストーブなどのたきつけ用に保管しておこうと、袋や段ボールに詰める作業を一週間ほど続けております。遅々として進まないのですが、それでも木切れの山の三分の一ほど減っているようです。ということで、今日の写真は足場がなくなってすっきりした現場で、非常に存在感のある(笑)山積みの木切れと深緑の雨どいです。
2017年2月21日
一週間ほどインドネシアに出張してきました。あちらは雨季でしたが、夏の真っ盛りで、ランブータンやロンガンなどのトロピカルフルーツがおいしい時期でした。
今日久々に工事現場にいってみると、大工さんは一人は製材所で棚づくりをしているようで、もう一人は柱に久米蔵(つづりは不明)という天然素材の着色剤をつけていました。柱を塗り始めてもうまる三日目になるようで、作業着のズボンに色がついて、洗濯してもとれないそうです。確かに、以前は新材の白い柱と古材の黒い柱が並んでいたりと、少々ちぐはぐでしたが、今は統一感があります。
さらに屋根の雨どいを取り付ける作業を板金屋さんがもくもくとされていました。深緑のようなグレーのような珍しい色の雨どいで、古民家にピッタリの色調です。
今後も内装が続きますが、あまり写真を載せると、完成後の内覧の楽しみが減ってしまうので、これからはブログ更新の頻度も写真も減っていくことをご了承ください。
古民家再生工事が完了した後は一般公開のイベントを計画しており、決定しましたら3月中に「イベントのお知らせ」で掲示します。
2017年2月12日
2月9日から今日まで、この冬最大級の寒波が襲い、大分でも雪が舞う日がありました。ただ、今日は朝は零下で水たまりが凍っていましたが、一日快晴でした。2月6日に古川設計士がいらして、工事の進捗具合をチェックし、新旧の柱に塗る塗料をいくつか指定してくださいました。また、大工さんの提案で、玄関から向かって左側の軒を支える柱の補強のために、お年寄りが楽に腰かけられる縁を作って頂くことになりました。この縁は10日には出来上がっていたようで、左がその写真です。ここにすわってお茶を飲んだり、庭仕事で疲れたときは、この上で横になって休むこともできるぐらい広いので大満足です。
建具についても、植木木工店の植木さんが何度も現場に通って採寸をされていてお忙しそうです。植木さんには建具の他に組み立て式テーブルや行燈などを作って頂く予定です。2月8日には龍豊堂の木下さんに襖の採寸に来ていただきました。こうして着々と内装の準備も進んでいます。
2017年2月2日
2月に入って暖かい日が続いています。古民家はとうとう床の工事が始まりました。そうなると、以前のように自由に中に入って写真を撮れない状況で、今日は古民家の敷地の一部でもある竹林の丘についてお知らせしようと思います。
この竹林は以前はみかんの段々畑でしたが、30年以上前に作らなくなり、タケノコを取るために孟宗竹を植えたそうです。その後家主がいなくなって、竹藪化してしまいました。この竹林の端っこに里道があり、丘の上にある万休院というお寺のお墓に出ることができます。以前は村人はこの里道を通って墓参りをしたり、子どもたちは小学校通学の近道として利用していたそうです。
竹林は手入れすれば美しいですが、30年も竹藪状態になると維持管理が大変なので、思い切って大部分を伐採することにしました。私はしろうとなので山師の高野さんと児玉さんのお二人に伐採をお願いし、私は切った竹の運搬整理のお手伝いを1月20日と21日に実施しました。結局22日日曜日の午前までかけて一番上部の稜線近くまで伐採していただきました。左の写真がその結果です。切ったばかり葉が青々としていますが、数日すれば枯れてくるでしょう。今後ももう少し向かって右側の竹を切り、里道のかわりになるような道を付けて丘に登れるようにしたいと考えています。この丘の上からの眺めは絶景ですので、展望台としても良い場所です。
ところで、りっぱな孟宗竹の丸太が何百本もあるので、必要な方にただでお譲りしたいと思います。先日も竹垣用に10本ほどもっていかれた方がいらっしゃいました。現場の大工さんに告げて頂ければ、ご自由に持っていかれて結構です!
2017年1月11日 新年明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします!
とうとう2017年になりました。屋根の瓦葺工事も昨年末で終了しました。今年は古民家再生工事完成という記念すべき年になります。大工さんたちも1月6日から早速仕事を開始し、家の北側と西側の壁に焼き杉板が張られていました。この焼き杉板は母の知り合いの米澤さんからいただいたもので、大変助かり、感謝しています。外側の土壁も乾いて、現在中塗りをしているところです。この中塗りの壁が乾いたら漆喰塗りに入ります。完成が3月中か、4月になるのかは1月末あたりに進捗状況を見て判断することになるでしょう。寺岡棟梁は最後の建具運搬に今週末熊本まで出張です。大変お疲れ様です!
12月19日(the 19th of December)
今日はヨットスクールや防災など多岐にわたる分野で活躍されている佐伯市鶴岡の西山さんのご協力で、ドローンによる古民家再生工事の空撮が実施されました。ほんの10数メートルの高さで撮るだけで、家を立体的にとらえられ、かつ周りの集落の家々との関係の中の配置が見えてきました。偶然ながら当日は12月というのに18度ぐらいの暖かさで絶好の晴天。しかも風もほとんどなく、ドローン撮影には理想的でした。写真にぽつんと屋根瓦の作業をしている職人さんが見えますが、年内に屋根が完成すればありがたいと思います。
12月5日(the 5th of December)
今日は熊本から古川先生が再生工事の進捗をチェックに来られました。今回は建具や内装について細かい打ち合わせをしていました。古材の状態から臨機応変に仕様も調整していくようです。キッチンの床のテラコッタのタイルの見本も見ましたが、一部斜めに敷いてはどうかという私の案に対して、必要なタイルの数が増えて割高になることもあり、濃い色と薄い色のタイルを市松模様に敷く案が決定しました。また、薪ストーブの土台にするレンガも、集会所のスペース上の都合から、ストーブの手前のレンガの出っ張りをなくして、使うときは防火マットを床に敷くことになりました。こうして、その場その場で設計士や大工さんに案を検討していただき、内装を変更していただける柔軟な家づくりができることは大変ありがたいと思います。家は使い捨てのように数十年たったら解体して、新築していくという今の流れではなく、良い材料を使い、優れた技術で建てられた伝統建築に、手を加え、修理をしながら次世代へとつなげていくのが本来の民家のありかたではないかと思います。これはヨーロッパでは当然のように行われていることです。世代が変われば、社会も変わり、環境もライフスタイルも変わっていくので、引き継いだ世代が工夫して家を再生修復していくのが当然ですし、そうやって伝統を再創造しながら、古き良きものも伝えていくことになります。こうした価値観が浸透すれば、伝統建築の大工さんや左官屋さんも残り、技が継承されていくのですが、今はそれができるかどうか瀬戸際というところでしょうか。下の写真の右端が、フランチェスコさんが絶賛した土壁です。藁の模様がアーティスティックで、確かに美しいですね。
12月2日(the 2nd of December)
今日ははるばるイタリアからの訪問者がありました。フランチェスコさん(イタリア語でFrancesco Cioncolini)で、大分に12月19日まで滞在し、東京や京都といった有名な観光地ではない地方の旅を楽しんでいるそうです。日本の伝統的な建築工法での古民家再生に興味を持っているということでお友達のRETIROサッカースクール大分の皆さんと共に訪問してくださいました(左の写真で最も背が高いフランチェスコさんの隣の女性は私)。ご自分もトスカナ地方はキアンティの広大な土地と40年も放置されていた石造りの民家を購入し、現在は素敵なホテルにリフォームし、オリーブ園を経営してオリーブオイルを生産し、観光と食による地域活性化に貢献しているそうです(www.chianti-farm.comのサイトを是非ご覧ください)。キアンティはおいしいワインでも有名なところですし、世界遺産が四つもあるような歴史と美しい景観とおいしい食のバランスのとれた素晴らしい地方で、私もいつか訪ねていきたい場所です。
この古民家の土壁をいたく気に入られて、この上に中塗りした後白い漆喰を塗ると言ったら、「もったいない!」と残念がり、せめて一部土壁のまま残してほしいと要望がありました。確かに漆喰を塗ると、その下にこうした藁を混ぜた土壁があることを知らない人も多いので、外人のみならず、日本人もあまり知らない伝統構法を知ってもらうために一つ残すことも検討する価値があると思いました。
工事はやっと窓枠ができつつあり、外側は雨水防護のための板金仕様です。建具がここに入ることになります。また、中塗り用の土も、藁を細かく裁断し、ふわふわにしたものを混ぜるそうです(下の一番左の写真)。右端の写真はキッチンスペースです。来週月曜日には古川先生が進捗具合を見にいらっしゃいますので、来年の完成予定の日程なども寺岡棟梁と共に相談したいと思っています。
11月22日(the 22nd of November)
11月になって暖かい晴天が多くなりました。11月前半は倉敷と滋賀への出張で留守にすることが多かったのですが、帰ってみると薪ストーブ用の高い煙突がついていたり、瓦がほぼ全体に敷かれていたり、また、屋根と天井の間に断熱材として鉋屑を入れた付箋布の袋(下の左端の写真)や羊毛が敷き詰められたりと自然素材を使った工夫がされていました。
新しく塗った土壁がだんだん乾いてきて、ひび割れていますが、一緒にまぜた長めの稲わらの模様が大変美しいです。これが乾けば、白い漆喰塗りが始まります。ただ、1,2か月は乾燥する必要がありそうです。今のところは土壁と柱の木材との間にすきまができないように、端っこを白い漆喰で塗り固めているようです。
この日も11月にしては異常に暖かく、22度でした。朝6時ごろに福島県沖でマグニチュード7.4、震度五の地震が起きて、最大1.4mの津波が観測されました。今年は熊本、大分、島根、福島と、次々と大きな地震が起きています。2011年の東日本大震災後、日本の地殻に大きな変化が起きたのかもしれません。ただ、日本の伝統建築は歴史的に地震に多い国で生み出され、引き継がれてきた構法ですし、この古民家も今後の地震に持ちこたえてほしいと願うばかりです。
10月24日(the 24th of October)
10月17日月曜日の午前3時半ごろ佐伯に震度4の地震が起こりました。その前の週に瓦を葺くために、5枚ずつ重ねたものが屋根全体に置かれていたので、あわてて朝様子を見に行きましたら、無事瓦は屋根の上に残っていました。この瓦は特殊な形をしていて、軒にのせたときに見える瓦のはしっこに丸い部分がなく、シャープに見えるそうです。そのかわり、普通は使わない瓦用の土を敷いてずれないように固定するそうです。下の右端の写真が瓦用の土の入った黄色い袋です。伝統建築でまだまだ知らないことはたくさんです。
この日は瓦職人さんが屋根の上に土をしいていく作業をしていました。また、朝には薪ストーブのフエゴさんが屋根に煙突の一部を通す作業を終えていました(下の真ん中の写真)。さらに、電気の配線工事も始まって、隣の駐車場が軽トラで満杯になるほどだと、丁度チェックに訪れていた和田設計士がおっしゃっていました。9人ほどの職人さんが家のあちこちで作業をしていて、大変にぎやかになり、駐車場も沢山の軽トラでにぎわっていました。
寺岡棟梁は10月12日と13日に熊本から土壁用の土を二日かけて運んできましたが、次の週にまた熊本から古建具を運んできたそうで、大変お疲れ様でした。22日に予定していた土壁塗りワークショップは雨で一週間延期となり、29日になりました。都合で参加できない人もいますが、新たに二人の女性の参加者が増えて、大変楽しみです。
10月10日(the 10th of October)
10月に入って、秋雨でなかなか進まなかった屋根の工事がどんどん進んでいます。9日にはとうとう屋根前面を覆っていたブルーシートが下の部分だけになり、防水紙で屋根が覆われています。あとは軒の屋根部分ができれば、ブルーシートにはおさらばです。10日は8月以来久々に熊本から古川設計士が進捗状態を調べにいらっしゃいました。前日は福岡のお仕事で、そのまま佐伯まで車でいらっしゃったとのことです。
古川先生は寺岡棟梁と一緒に家のあちこちをチェックし、いろいろアドバイスをされていました。事務所になる座敷の掃出し口の長さを測っていましたが、おそらくその部分の設計の修正をするらしいです。設計通りに建てられる新築と異なり、やはり現場の状況に照らし合わせて、その都度設計も柔軟に修正していくのが古民家再生の大変なところであり、また面白いところでもあるでしょう。家の傾きを修整し、屋根工事が進むにつれて、軒下の柱が次第にずれてくるそうで、そうしたことにも対応してい くわけです。
今週から来週にかけて、寺岡棟梁は土壁用の土を熊本から持って帰る予定ですし、来週頭あたりに薪ストーブの煙突工事をすることになりました。そろそろ土壁ワークショップの日程も決めなくてはなりません。決定したらイベントのお知らせに載せますのでもうしばらくお待ちください。
9月30日(the 30th of September)
この日ははるばる滋賀県東近江市から唐紙作家の野田拓真さんが佐伯を訪問してくださいました。下の写真の一番左と右に移っている背の高い方が野田さんです。神戸と西大分を結ぶ弾丸フェリーで早朝に着いて夕方に出発するというハードなスケジュールをこなしてくださいました。西大分港から臼杵経由で海岸線を通って海部地方の海岸風景を見て頂いたのですが、あいにくの曇りで彦岳の頂上付近は雲の中でした。午前中は現場で、襖を作ってくださる龍豊堂の木下さんや建具担当の植木工務店の植木さんと一緒に襖が設置される座敷を見たりし、そのあとはこの四人で城山の観光交流館に移動し、実際の唐紙のデザインサンプルを見ながらどういったものが古民家にマッチするかなどのご相談をしました。午後2時からは同じ観光交流館二階の研修室で唐紙セミナーでお話や唐紙製作の実演と体験教室をしていただきました。詳しくは最新ニュースに写真と共に載せましたのでご覧ください。
9月23日(the 23rd of September)
今日は和田設計士が工事の進捗具合を見に来てくださいました。女性ながらヘルメットをかぶり、屋根の上まで上がってチェックしている姿は凛々しいです。先週末も台風16号がやってきて、私は青森県の弘前の社会教育学会で留守でしたが、どうやら古民家も台風に持ちこたえたようで、この日も着々と作業が進行していました。
この写真に写っている古民家の南東の角のところの屋根の傷みが激しく、ずっと雨漏りしていたところです。その辺の貫やら桁やらの損傷したところを、取り外しできないのでそのままの状態で新しい木材で継いでいくという難しい作業に大工さんたちは挑戦しています。下の一番左側の写真を見ると古材と新材が継がれているのがわかります。5m以上はあるだろう屋根の上をひょいひょいと渡り歩き、てきぱきと作業をしていく姿は、さすが熟練の大工さんだと感心です。
どうやら私が留守の間に佐伯組さんに手伝っていただいた柱の傾きを修整する鎖類もとれたようです。来週からは天気が続くようなので、屋根がなんとかすべてふさがれる程度に進めばと願っています。
最近やっと左官職人が見つかりました。臼杵の河野さんです。毎日臼杵から通って下さり、土壁用に細竹を汲む作業をされています。
9月8日(the 8th of September)
今年は異常気象で九州は猛暑が続き、普通は沖縄から九州へと移動する台風が東北や北海道で大きな被害を起こしました。そんな中、とうとう台風12号、13号が九州にやってきましたが、被害はそれほどでもなく、むしろ恵みの雨をもたらしました。そんな中でも、工事はそれなりに進んでいます。9月8日に現場に行ってみると、やっと西側と南側の屋根に着手していました。しかしながら台風の名残の風が強い時の屋根の作業は大変だったようです。私は9日から12日まで大学院の後輩だった中国人留学生の李さんの結婚式に出席するため佐渡を訪問しますが、戻ってきた時にどれぐらい屋根の工事が進んでいるか楽しみです。
9月1日(the 1st of September)
とうとう9月に入りました。今日は別府にある薪ストーブ代理店のフエゴさんが下見にいらっしゃいました。寺岡棟梁とまずは煙突の位置や屋根のことなどを話し合って調整しているようです。実際の工事は、屋根ができて、瓦をふく前にする予定です。ストーブ本体が入るのは煙突工事が終わって最後の方になります。ストーブはベルギーのNestor Martin社の部品が少なくシンプルなものに決定しました。
工事の方も、やっと北側に棟桁が通りました。松材らしいですが、しっかりと太いものです。垂木も徐々につけられています。下の写真左二枚が8月25日に北側を写したものです。スカスカだった床も梁や屋根裏工事のために、暫定的にコンパネを張っています。下の右端の床の写真は9月1日に撮影しました。 寺岡棟梁は8月26日に熊本入りして、古材を佐伯に持って帰りました。アイランドキッチン用のケヤキの大きな板も持って帰ったそうです。建具類は工事がかなり進んだところで取りに行くことになりそうです。
9月3日は民家再生協会の九州支部によるシンポジウムが日田文化会館でありますので、私も聞きに行く予定です。設計士の古川先生が熊本地震の住宅被害から学んだことをお話ししてくださいます。結論としては、やはりさまざまな観点で現代的構法と比較して、日本の伝統構法が地震に強いということだそうです。
8月22日(the 22nd of August)
今日ははるばるスイスから訪問客が現場にやってきました。冬馬(トマ)・ゴベ君です。まだ20歳で、ローザンヌ大学の建築学部で建築の勉強をしているそうです。お父さんはスイス人、お母さんは日本人で、私がスイス留学時代に一緒に大学院で勉強した友人でもあります。話を聞くと、ローザンヌ大学の施設の一つは隈研吾さんがコンペで受注し、現在建築中だそうで、スイスでも日本人建築家は人気があるとのことでした。
今夏休みなので、日本のお母さんの実家である川崎の祖父の家に遊びに来ていて、ひと月ほど日本に滞在し、9月上旬にスイスに戻ります。今回は、地震の復興割で東京と大分の飛行機の往復と大分のホテルの二泊の宿泊が格安で手に入ったそうです。
この日は午前は和田さんが設計図片手に古民家再生の経過を説明してくださり、午後は寺岡棟梁の案内で、棟梁が以前建てた二つの民家と、代々修理にかかわっている大日寺の建造物等を見て回りました。
せっかくの佐伯訪問なので、お昼は味愉嬉(みゆき)食堂で直ちゃんとおしゃべりしながらゴマだしうどんを堪能してもらい、大分に戻る前にランブルのおいしいアイスコーヒーとシュークリームを味わってもらいました。冬馬君はとても佐伯を気に入ったようでした。
8月12日(the 12th of August)
12日は古川設計士が久々に佐伯を訪問し、現場チェックをしてくださいました。4月末の「ビフォーを観る会」以来です。熊本地震被害にあった住宅の修復などで大変お忙しかったそうです。私は学会で上京中でしたが、先週6日に佐伯組の佐伯さん親子と職人さん3人で、家の傾きを修整する作業をしたということで、滑車と鎖が見えるのは、柱と柱をそれでつないでひっぱり、ゆっくり傾きをもどしているということでした。写真は古川先生と、お弟子さんの和田さん、寺岡棟梁が設計図などを見ながら今後の工事のポイントなどを話し合っているところです。
実質床から下はほとんど新材でやり直しのようですが、柱がどんどん組まれているのを見ると、だんだん再生が現実化している実感が湧いてきました。
この日は元大分県教育センター長で、現在大分大学でCOCプラスという大学と地元企業や地域、行政の連携推進を図る事業のコーディネーターをされている梶原氏も工事の見学にいらっしゃいました。ご自宅に薪ストーブがあるということで、この古民家に設置する予定の薪ストーブや煙突施工の重要なポイントなどをアドバイスしていただきました。
8月1日(the 1st of August)
昨日カフェ・ド・ランブルに久々に寄ってみたところ、そこにいた常連客が戸穴の古民家を先週見に行ったら木材をたくさん置いていたと私に告げたので、あわてて今日現場へ行ってみました。先週東北の旅に出ていて、東京では尊敬する鶴見和子さんの山百合忌にも出席したこともあり、現場をしばらく見ていませんでした。家の周りに足場ができていて、二人の大工さんが仕事をしていました。柱の工事が始まっていて、工事用の看板にも「あまべ文化研究所」と記していました。やっとここまでこぎつけたかと、しみじみしてしまいました。35度近い猛暑の中の作業は大変そうですが、海風がよく吹くのが救いのようです。
7月5日(the 5th of July)
今日は現場のチェックに古川設計室で以前仕事をされていた設計士の和田さんが大分からいらっしゃいました。これから1、2週間に1回は進捗状況を確かめに現場に来てくださいます。お若いようですが、すでにたくさんの工事現場を経験されているようで、壁がなくてスカスカの現状も見慣れた風景だそうです。基礎は柱を支えている石の高さに合わせてセメントを入れるので、手間がかかり熟練の技が必要となります。直川の二人の職人さんは息をぴったり合わせてセメントを木枠の中に入れていました。こうした方法で施工する基礎工事は初めての経験だそうです。棟梁の寺岡さんも和田さんと一緒に設計図を見ながら、いろいろな疑問点をはなしあっていました。梅雨明けも近いですし、来週まで基礎工事をして、それが終わるといよいよ家の傾きの修正という最も難易度の高い作業に入るようです。私は明日から日曜日まで博多、熊本と出張に出るので、来週月曜に進捗を見に来ます。
7月2日(the 2nd of July)
梅雨の大雨が続いていましたが、6月24日あたりから現場では基礎工事が始まっていました。柱が建っている間をぬって工事をするので時間がかかるそうです。石場建てという石の上に柱がのっかっているだけという伝統構法で再生しますが、肝心の石が地震などで動かないように、セメントと鉄骨で石を固定する作業をやっています。
5月20日(the 20th of May)
20日の大安吉日にやっと地鎮祭を行うことができました。戸穴の歴史に深いかかわりのある大宮八幡神社の神志名宮司にお払いをお願いしました。施主の家族と寺岡棟梁、そして寺岡さんの親戚にあたる那須さんにも来ていただき、家族的な雰囲気で実施されました。お供えするのは、お米、お酒、塩、タイが二匹、野菜の盛り合わせ、果物の盛り合わせです。塩は大工さんと施主が宮司に導かれて家のあちこちにお浄めの為に撒きました。それからお神酒は家の四方に撒きました。地面の上に盛られた砂を施主が三回つるはしを入れ、大工が三回スコップを入れました。昔からずっと続く儀式ですが、私は生まれて初めての経験でした。天気にも恵まれ、一時間ほどで式は終わりました。また、古民家再生工事が終わり、家が完成したら、もう一度お払いをするということです。 今後は家の基礎の傾きを修整する工事に入るようです。22日から一週間ほどインドネシアに出張するので、戻ってきてから工事の進捗状況を確かめなくてはなりません。
5月19日(the 19th of May)
今週は17日に大分での講演があり、その準備やらで忙しく、昨日は大入島の日向泊地区での観音講の行事に参加し、今日初めて現場にやってきました。驚いたのは壁がほとんど撤去されてスカスカになっていました。なんともさびしい風景です。改めて、ほんのいくつかの柱が構造的にこの家の屋根を支えていたんだということが実感できます。
一方、道路から水道管を引く工事が始まっていました。弥生の田原工務店が担当してくださいます。なんと、30年前までこの家の住人は井戸水で暮らしていたようです。道路から古民家まで約40mほどの距離の穴を掘る作業となります。ただ、道路に穴を掘る工事は、交通に支障をきたすので、一日、二日で終える突貫工事となるようです。大変ご苦労様です!さらに、今日は佐伯の「やまもりの会」の方が古民家の隣の竹林の竹を使いたいということで、下見にいらっしゃいました。まだまだ竹が多すぎるので、どんな利用方法であろうと、この竹林の竹を使っていただきたいと願っています。孟宗竹が必要な方は是非ご連絡ください!
5月12日(the 12th May)
最初の日でもかなり解体が進みました。床もほとんどとってしまいました。職人さんが家の北側の土壁を壊しているところです。昔ながらの竹組みが見えてきました。
5月12日(the 12th May)
屋根裏にはまだいろいろな道具が残っていました。何十年も埃をかぶっていたので、井戸水でざっと洗い、天日干しをしました。明治十五年と墨で書かれた箱などから達筆だった先人がしのばれます。漆のお盆などはゆがんだり、ひびが入ったり、ネズミにかじられたりしていましたが、何か再生利用できないか、まずは保存しておいて考えることにします。
5月14日(the 14th May)
150年も建っているので床が傾いているそうです。この傾きをどうやって戻すのか、佐伯組の佐伯さんの知恵を借りて寺岡棟梁と大工の岩崎さんと三人が真剣に相談しているところです。